フランス、パリ生活の思い出
フランス、パリ生活の思い出
十数年前にパリの大学で勉強していたことがある。
パリは本当に映画で見る通りの感じ。首都なのに忙しい感じがなく、落ち着いた雰囲気が漂っている。朝は必ず焼き立てのパンの匂いが漂って、映画のようにバゲットを抱えて歩いている人たちがいる。人の温かみにふれて、自分にとってパリは故郷のようになった。
パリはネガティブな意見をよく聞く。人が冷たい、サービスが悪い、汚い、などなど。確かに日本に比べて店員さんの対応などは悪いが、慣れてしまえばそれが普通になる。しかもどのお客に対しても態度が悪いわけであって、日本人だから、というのは殆どなかった。よく行くお店の店員さんなんかは笑顔で丁寧に接客してくれた。
人の冷たさについても、これは首都ではどの国でもありえる事ではないかと思う。僕はパリではとてもいい友人に恵まれてたくさんお世話になった。最初にbriser la glace(英語で言うbreak the ice - 打ち解ける)するのに時間がかかるが、友達になると本当にいろいろしてくれる。当時学生でお金がなかった僕に家でご飯を食べさせてくれたり、ビストロでおごってくれたりした。
フランスではレストランよりも家のディナーに招待するのが多いみたいで、よく友達の家でご飯を食べていた。若者もレストランやバーに行く代わりに、ワインと食べ物を持ってセーヌ川のプロムナードでピクニックをして盛り上がっている者がたくさんいた。僕も何度かセーヌ川のほとりで友達とパーティーをしたことがある。パリの夜空はなぜかネイビーブルーで美しかった。歴史的建造物もライトアップされて、夜景がとにかく綺麗である。
パリが懐かしと思うもう一つの習慣はテラスterrasse。ほとんどのカフェやレストランにテラスがあり、天気がいい日はみんな外で食べたり飲んだりして賑わっている。学校帰りの夕方はたいていCaféに寄って、クラスメートとapéritif (夕方食前に飲む少量のお酒。Pastis, champagne, kir etc.)をテラスに座って飲みながら語り合った。 世間話よりも政治や学問のことで議論する事が多かったように思う。
パリでのいろいろな出来事やフランスの他の街についてもまた書いてみたいと思う。